家づくりのコンセプト
私たちが考える信州のすまい「信州ベーシックハウス」
長い好みと長い寿命に答える家
大きな屋根と開放的な間取り、深い庇と大きな窓。信州の古い民家には自然に対応したいくつもの知恵があり、それがカタチを表していました。
「信州ベーシックハウス」では古民家の知恵に学び、時と共に重厚さと美しさが増す住まいを目指しています。
又長い年月の間に起こりうる大地震に対して十分な対策と、ライフスタイルの変化によるリフォーム等が容易に行えるシンプルな構造体も同時に目指しています。
150年の歳月を経た下條村の古民家(H邸)
人に優しい、周りの環境にやさしい家
信州は、日本の中心地であり河川の源となる源流地帯を多く抱えています。その流域には人工的に植林をした杉、桧、唐松等豊富な森林資源が眠っており、今間伐の時期を迎えています。この豊富な森林資源を住宅の構造体や仕上げ材に使用する事により、循環型地域経済の樹立、国土の保全(河川災害を防ぐ)を同時に達成する事が可能です。又近くの山の木を利用した家づくりは輸送過程の二酸化炭素排出量の削減につながり、環境負荷を減らします。
眠っている森林資源を効率的に活用し、安全で健康的な住宅を一般の方が大きな負担なく建築できるために「信州ベーシックハウス」は生まれました。
樹齢70年、根羽村の杉
太陽エネルギー等自然の力を活かした快適なゼロエネルギー住宅
私達は28年前に太陽エネルギー等、自然の力を快適な家づくりに活かす事を目的とした
OMソーラーに出会い今日に至っています。
その技術は進化し現在の とつながっていますが、基本的な部分(太陽光等であたためられた空気を基礎断熱された床下へ送り家全体温度差のない空間を造る)に変わりがありません。
逆に数年前から基礎断熱を施し床下空間に暖気を入れる住宅が増えて来ています。
現在は太陽光発電と組み合わせるほとんどの住宅がゼロエネルギー住宅を達成しています。
OMX、パッシブエアコン
「信州ベーシックハウス」設計の考え方
建築家「フランクロイドライト」は
「先ず土地を見よ。土地がすべてを教えてくれる」といいました。
その土地に違和感なくまるで昔からその土地に生える様に建っている、そんな建物を我々は理想としています。
南アルプスを望む高台の傾斜地に建つ飯島町Mさんの家
日射の入り方、風の流れ、その土地から見える風景、隣地の状況を把握し、尚且つ建主の生活スタイルや要望を聞き取り、この家族がこの場所で安全に気持ち良く暮らす事を想像しながら設計を進めます。
「素敵な家族の物語」を語るように建物を設計する、それが我々の設計に対する考えです。
建物の骨格を形成する構造材はこの地方で育まれた杉桧材で、厳しい品質基準をクリア―した「信州木材認証製品」(注1)です。 当社ではこの構造材を使用し二階建て木造住宅では通常行わない構造計算「許容応力度設計」を実施し、3階建も安全に設計できるようマニュアル化を行いました。(注2)
区画整理された住宅地に建つ飯田市羽場「Yさんの家」。
比較的住宅が密集しているため、2階リビングを採用しプライバシーを確保している。
内部空間はその構造材の桧、杉材が田の字にシンプルに組まれた空間で、左官壁(薩摩中霧島壁や漆喰)との組み合わせにより飽きのこないインテリアを演出する事を心掛けています。
長い年月の間には家族の成長に合わせ内装や間仕切りを変更する事がありますが、この様にベースがシンプルに出来ているとリフォーム等がとてもやりやすくなります。
二階リビングから見る風景。広いテラスに繋がる。
杉と桧の架構がインテリアになったシンプルな空間(羽場Yさんの家)
その地域の財産になる「たたずまい」を持ち、長い年月住まい手に愛される住まいである事を願って、日々設計を行っています。
(注1) 信州木材認証制度 長野県が独自に決めた木材の品質基準「環の住まい」補助金の対象にもなっている
(注2) 3階建てマニュアル 林野庁の信州地域型住宅モデル事業に指定され
大蔵実氏が中心になり「信州OM住まいの研究会」でマニュアル化